彼らにとって一度操作できるようになったものを別のものに変えるには、これまでかかっていた手間よりも少ない手間で目的が達成できねばならない。現在の自分で導入するLinuxでは、出来合いのシステムに比べれば、手間が増えるという点では否めない。つまり、「使えることが保障されているシステム」対「自分で使えるようにしなければならないシステム」の構造である。エンドユーザにとってシステムは使えてこそのものなのである。だからこそOSとその上で間違いなく使える保障があるソフトがシェアを奪っていくし、システムのアップグレードには二の足を踏む。前者の最たる例がMicrosoft WindowsとMicrosoft Officeであり、後者がいまだにWin98やVB6を使い続ける場所があるという点だ。
ここまでのことを考えると、Linuxのディストリビュータはエンドユーザに対して「使えることが保障されているLinuxシステム」を提示できていないことが普及しない理由の一つであると考える。しかし、現在の流れはこれを解決する向きに動いていると僕は感じている。MicrosoftがそうであったようにOSとその上で動くことが保障されるソフトウェアを提示すること、さらにOSが走ることを保障したハードウェアの普及に勤めること。同じような流れがLinuxのコミュニティにも出来ていると感じている。このような流れはエンドユーザからシステム導入に際する不安を取り除くことになり、普及の一助となるような気がする。